挨拶
椎葉 大翼
「舟歌」という音楽があります。水上を漂うようなリズムが特長で、過去メンデルスゾーン、ショパン、フォーレ、リャードフ…といった作曲家が同名の傑作を残しています。時を経て現在、舟で移動するアドベンチャーゲームに舟歌が流れたら最高!と考えて私こと椎葉が作曲したのが「舟歌 -Barcarolle-」で、自分にとって生涯2曲目のピアノ曲でもありました。そしてそのゲームとは青と黒の2色で世界が描かれた「From_.(フロム)」です。
「全曲ピアノの音楽をお願いします」という開発者仲島さんからのオーダーを受けて作曲した「From_.」、ピアノ一本で物語の起伏を表現するのは難しくも楽しい取り組みでした。出し尽くした、という感じもあったので暫くピアノの音楽は作らないなと思っていた矢先、次のプロジェクト、また次のプロジェクト…と作っていったのが「ネコの絵描きさん」「World for Two」「サリーの法則 for Nintendo Switch」のピアノ曲の数々でした。
生涯1曲目のピアノ曲というのは高校生の時に作った曲で、また作りたいな、来年作ろうかな…と思いつつ時が過ぎるばかりでしたが、今回「From_.」の音楽の作曲の話をいただいて久々に機会に恵まれ、それをきっかけにこうしてピアノ曲だけでコンサートを開けるまでになりました。演奏を務めるのは全ての曲の録音を担ってくださったピアニストの四條智恵さんです(四條さんと椎葉は高校の同級生でもあります)。目の前で繰り広げられる演奏は、ゲームを遊びながら聴く音楽とはまた一味違いますので、既に遊んでいただいた方は各場面の思い出と共に味わっていただければと考えています。まだゲームを体験されていない方は公演をきっかけに本篇に興味を持っていただければ幸いです。トークを交えながらお楽しみいただける堅苦しくない演奏会を目指します。
音楽の舟旅へと、皆様をご案内いたします。